藝大と絵巻物研究

GACMANews

2024年4月1日より、東京藝術大学美術学部近現代美術史・大学史研究センターの名称が「東京藝術大学未来創造継承センター大学史史料室」へと変更されました。引き続きのご支援とご協力をお願い申し上げます。

今年、NHK大河ドラマの影響で「源氏物語」や「紫式部」に対する関心が高まっています。この機会に、当センターでは関連資料を展示いたします。

展示では、1926年(大正15年)に東京美術学校(以下「美校」)で行われた「特殊研究講義」の一環として、日本画家松岡映丘が担当した「古絵巻物研究」の授業関連資料をご覧いただけます。松岡映丘は、1912年(明治45年)の文展で「源氏物語絵巻」を題材にした《宇治の宮の姫君たち》で初入選を果たし、以後、官展を中心に活躍しました。彼の作品は、伝統的なやまと絵に近代的な感覚を融合させ、「新興大和絵」として新たな潮流を生み出しました。

美校では大正時代に絵巻物の模写事業が実施され、絵巻物研究が盛んになりました。大正15年には、現在の公開講座に相当する「特殊研究講義」が開催され、社会人や他大学の学生、そして女学生も参加しました。映丘はこの講義で、絵巻物について教え、源氏物語や紫式部絵巻などに描かれた人物や景色をどのように作品制作に活かせるかの可能性について考察したと考えられます※。

ご興味のある方はぜひお越しください。

※参考資料

松岡映丘編著『図録絵巻物小釈』森江書店、1926年。松岡映丘談「本邦絵巻物に就て」『恩賜京都博物館講演集』第10号、恩賜京都博物館、1932年。